平成23年12月28日

福岡市長  島 宗一郎 様

                                         福岡音楽団体連絡会    会長 石 川 純 一
                                       福岡県合唱連盟福岡支部
  支部長 岩 崎 洋 一
                                              福岡三曲協会    
会長 宮 地 牙 山
                                          福岡マンドリン連盟 
 事務局長 酒 井 一 能
                                     福岡県オーケストラ連絡会議    代表 石 川 純 一
                                    福岡おかあさんコーラス連絡会  
 会長 宮 崎  憲 子

                 福岡市拠点文化施設への
            中規模音楽専用ホールの設置に関する要望書



 師走の候、貴職におかれましては益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。日々、福岡市の発展と福
岡市民の幸せのためにご尽力いただき心より感謝申し上げます。
 さて、私たち福岡市を拠点に活動する音楽団体は、コンサートをはじめとした演奏活動等を通じて、市民が身近に生の音楽にふれる機会を提供し、市民の豊かな心を育むとともに福岡市の芸術文化の発展に貢献して参りました。
 福岡市では、この20年の間に、多くの音楽団体の活動拠点となった音楽・演劇練習場「パピオビールーム」や、優れた音響を持つ大ホール「アクロス福岡シンフォニーホール」及び小ホール「あいれふホール」などが整備され、福岡市の音楽活動環境は少なからず向上してまいりました。しかし、近年、音楽団体にも評価の高かった「メルパルクホール」が解体され、一方で新しく建設されるホールは、クラシック音楽などホールの響きを必要とする演奏には全く不向きな“多目的スペース”ばかりが整備される傾向が続き、福岡都市圏で活動する音楽団体は、演奏会場の確保に大変苦慮するとともに、著名な演奏家のコンサートなどが福岡市を素通りし北九州市や隣県に行ってしまう事態に深く憂慮しております。
 このため、福岡音楽団体連絡会では、クラシック系の音楽団体を代表して、福岡市に対して「音楽文化の向上と演奏環境の充実に関する要望書」を毎年提出し中規音楽専用ホールの必要性を強く訴えて参りました。
 この様な中、この度「福岡市拠点文化施設基本構想(案)」が公表されました。文化芸術を成熟した精神性の高い都市活動の原動力と位置づけ、市民会館の再整備にあたっては「時代にふさわしい新たな拠点文化施設としての再整備が必要」という構想の主旨を高く評価いたしております。しかし一方で、その中身が演劇系の拠点施設に集中し、特にクラシック音楽等については、アクロス福岡シンフォニーホールによって概ね充足しているとの判断からか、中規模音楽専用ホールなど音楽分野に関する検討があまりなされておらず、私たち音楽関係者は極めて残念に思っております。
 確かに、アクロス福岡シンフォニーホールやあいれふホールによって、福岡市における演奏環境は大いに改善されました。しかし音楽の分野においても最も需要が多いのは客席数600〜800席程度の中規模ホールであり、オーケストラ、マンドリン、室内楽、合唱、三曲を始めとした多様なコンサート、リサイタル、音楽コンクールなど、利用機会は多岐にわたります。優れたコンサートホールは、若い音楽家を育て、また地域の音楽文化を育むのに大きく貢献するものです。
 隣の北九州市をはじめ多くの大都市に整備されている中規模音楽専用ホールが、九州・アジアの多くの音楽家が集まる福岡市にないことは、人と環境と調和のとれたアジアのリーダー都市・ユニバーサルなまちづくりを目指す福岡市にとっては非常に寂しいことであり、多くの文化的発展の機会を失うことにつながりかねないと危惧しております。
 つきましては、福岡市における中規模音楽専用ホールの必要性・重要性を改めてご認識いただきますとともに、是非とも「福岡市拠点文化施設」の整備に際しましては、演劇専用ホールとともに、中規模音楽専用ホールを整備していただきますよう、強くご要望申し上げます。